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心の万華鏡  

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2006年 04月 22日

ダンコロは宝物

暗く 寒い 冬が、ようやく終り、田んぼも山も、明るい光に包まれる四月

ダンコロは、なだらかな、小さな雑木林 二段になって広がっているから、私たちはそう呼んでいた。

雑木林は、柔らかな芽を付け、苔の匂いや、羊歯、枯れた葉や、チョッと湿った土の匂いがしている。
よく手入れされた、林には、木の間を通して、光が、其処ここに降り注ぎ、草の上に、明るい日だまりが幾つもできている。

丸く光が落ちている所に、今年は、菫が群れて咲いている。
丸く盛り上がって、其処だけは紫色の世界だ。

柔らかく暖かい雑木林の地面に座っていると、緑色の光が目の前で踊っているようだ。

私が、ジッと動かずに、その辺にある木の一部のようにしていると、この林の小さな住人のリスがひょこっと顔をのぞかせる。
静かに、静かに、首も動かさずに目だけでリスを見る。

ふわふわのしっぽを、ビンのブラシ洗いの様に立てて、木の枝を伝わって降りてくる。

今は私のすぐ前の、草の広場で、前足を口に持っていって、忙しく周りを見回している。

でも、リスはそこからは決してこちらに来ようとしない。フンフンと鼻をうごめかせ、匂いをかいでいる。
この林に、侵入者がいることを、知っているようだ。

長くジッとしたままだと、足も腰もだるくなってくる。私は、ウーンと伸びをしながら立ち上がる。
リスはとたんに、あっという間に、木の上に駆け上がり、葉っぱの後ろに隠れてしまうのだ。

春になったら、私は、家の持ち山の雑木林に行って、何をするともなく、山の匂いに取り囲まれて、座っているのが好きだった。

私の小さな秘密のつまった雑木林。

誰でも子供の頃には自分だけの宝物の場所を持っていますね

by hanarenge | 2006-04-22 18:00 | 幼い頃の・・・


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