お母さん お母さん おてまぎを書きたいんだけど
読みふけっていた本から顔を上げると くりくりの丸い目を見張った彼がいる
誰に書くの?
あのね〜〜〜 あのね〜〜〜 彼は真剣な顔で言う
おてまぎはねえ 切手を貼ったらどこでも行くの??
お母さん お母さん ホソヒラターブって なに?
ホソヒラターブ?????
そう ホ ソ ヒ ラ タ ー ブ
???
ぴかぴか眩しい五月の縁側で なにやら 眺めながら 彼が言う
キンダーブックの昆虫図鑑 嬉しそうに指差す先には ちいさなアブの絵
『ほそひらた あぶ』の事だった キントツ特急と一緒だね
二人の息子の言葉を宝物のように思い出す秋です
こんな可愛い言葉や仕草を残してくれるから 母親業は うれしいんだね
たわいない話です