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心の万華鏡  

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2007年 06月 03日

変わりゆく万物

諸行無常 
平家物語の冒頭 流れるような名文に乗って語りだされる一こまに、この有名な字句がある。

奢れる平家の、栄耀栄華は、夏の夜の夢のように消え果て、今は、壇ノ浦にその命運を託し・・・・・・
大海の、波間に揺れるのは船ばかりでは無く 平家の命運なのだ。

何となく、消え果る、世の無常 滅びの事のように感じていた。

しかし、仏教では、万物は変わりゆくという、至極当たり前のことをこの字句で言うのだ。

変わりゆく景色 変わりゆく季節 変わりゆく世界
なのに何故、人は、我が身が明日も変わらず、ここにいると、思うのだろうか。

何故 明日の事のみならず 来年も 再来年もと、思うのだろうか。

来年どころか 明日さえも、分からない世界に、我が身はいるのだ。

変わりゆくのは、物や景色、季節だけではない 人の心もまた変わりゆく

一時間前と、今では、もう同じとはいえない

この、万物流転 これを知ったとき、真に理解しえたとき、人は謙虚になり 他人を我が身と同じように慈しみ 気にかける事ができるのだろう。

などと、偉そうな事を書いたけれど 私が理解したわけでもない、ほんの少し、理解したような気持ちになっているだけなのだ。
そしてその気持ちは、春の淡雪のように消えやすい、移ろいやすいものなのだ。

80歳を過ぎてから、エジプトの砂漠の熱い風に吹かれてみたいのよと言って、飛行機に飛びのり、一人旅をした方がいた。
私は、その感性がすごく好きだった。

今夜、その人を送る席で お寺様の、諸行無常のお話を伺った。

短いお話だったが、心に深くしみたのだ。

この世では、変わらないものなど何一つとしてない

せめて、私も、変わりゆく世界に、少しでも思いを致し、小さな、小さな、善行を、わずかでも、積んでいきたい。

お心安らかに・・・・・・ご冥福を、心よりお祈りいたします   合掌。

by hanarenge | 2007-06-03 23:51 | 心模様


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