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心の万華鏡  

ヤマモモ

赤い丸い大きなキャンディのような、ヤマモモ

口に含んで、ギュッと圧すと酸味の勝った果汁があふれ出す

ヤマモモは、幼い頃への、記憶の扉
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初夏の風が、頬に心地よい、I屋敷の畑で、私は遊んでいる
「お父ちゃん、そこに、いてへんか?」母の声が、茄子の畑の向こうからする。
「いてへんよ」 私は、顔も上げずに、手元の「小さな自分の畑」の、土をいじりながら返事をする

I屋敷は、家から一山越えた所にある、大きな畑だ。昔ここに屋敷があったが、今は畑になっている。
それでも、畑の名前は昔からの名前で呼ばれている。

父と母について、この屋敷に来るのが楽しみの一つだった。

清水が湧き出る小さな泉は、底まで澄み切って、ジッと目を凝らすと、底の砂が湧き出る水に押し上げられ、永遠に終わらないダンスをしているように見える。
夏でも、冷たい泉から、何度、喉を潤した事だろう。
そこらじゅうに生えている、フキの葉を丸めて水をすくうと、緑色の葉は銀色に見えるのだ。

柿の木が、たくさんあって、今は大きな葉の影に隠れる様に生っている青い実は、秋には夕焼け色の甘い実になる。それを、木に登って、捥いで食べると、冷たい秋の空気のように、ジンと歯にしみた。

ひょっこりと、父が、姿を見せる。仕事をおいてどこにいっていたのだろうか?

父は、手を背中に回したままで、私の前まで来て、ヒョコッと大きな木の葉を丸めた物を出す。

開けてみると、丸い赤い実が、ポロポロとこぼれる。

ヤマモモだ、一つ口に含むと、苔の匂いが満ちる、羊歯の匂いがあふれる。
山の香りが口いっぱいに広がっていく。

ヤマモモは、畑の上の山の崖の所に一本あるのだ。とても大きくて、その下に行くと、茂った葉で空が見えない。

父は、この実の生る頃をよく知っていて、今のように、時々、ひょいと消えて、ニコニコしながら山から下りてくるのだ。

果物屋の店先に、この実が並ぶ頃、私の心は遠くあの夏に飛ぶ。
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Commented by yoas23 at 2006-06-21 19:11
ヤマモモの思い出・・いいですね!。
飛騨は山国でもこのヤマモモはありません。
だから味は分かりませんが、私たちの子供時代のおやつには充分な甘さだったのでしょうね。
何となく想像が付きます。
でも、父親って子供を喜ばせる手立てを知っていましたね。
それもお金を使わないで、自然にあるものを利用して・・・、だから昔の親父は尊敬されたのですね。
恐かったけど・・・・。
Commented by happykota at 2006-06-21 21:05 x
こんばんわ!
なにか情景が目に浮かぶような、幼い頃の故郷の思い出ですね。
残念ながら私は小さい頃はナンバのど真ん中にいましたので、
喧騒に満ちた記憶しかありません、唯一懐かしかったのは
夏祭りと夜店、そしてよく冷えたトマトと塩湯でしたとうもろこしです。
Commented by mikikof3 at 2006-06-21 23:43
こんばんは♪
ヤマモモ、私は食べた経験がありません。
子供の頃は、近所の庭のグミやコウメ (小梅とはちょっと違います。)を
もらってよく食べました。
甘酸っぱい思い出です。
幼い頃の思いでは、いくつになっても鮮明に覚えています。
昨夜の晩ご飯を忘れてしまうのに・・・不思議ですね。^^
Commented by hanarenge at 2006-06-22 14:02
yoasa23さん♪飛騨にはないのですか?初耳でした(^.^)
高知産のが、こちらでは、売られています。
ただヤマモモは、すごく傷みやすいらしいので、果物屋でも、ほんの少しの期間だけです。
味は、酸っぱいです。その中に甘味が少し・・・。
最近は、甘いほうが果物としては勝ち組のようですね。
私も、ヤマモモに、こういった思い出があるから、好きなのだと思います。
怒ると怖い父親が、こうして、見せてくれる、いたずらっ子のような顔がとても好きでした。
Commented by hanarenge at 2006-06-22 14:08
happykotaさん♪はい、書いていると、どんどん故郷が近くなるような気がします。
ナンバにいらしたのですね、では、ナンバが、まだまだ大人の町だった頃のご記憶がおありなのでしょうか?羨ましいです。
夏祭りと夜店は、子供時代の思い出のハイライトの一つですね。
ウチワとスイカと、金魚と、ヨーヨー、明るい電燈の下で、光っている夜店は魅惑に満ちています(^.^)
トマトと、とうもろこし、これも、夏真っ盛りの美味しい思い出ですね。
Commented by hanarenge at 2006-06-22 14:12
ミキさん♪ヤマモモは、酸っぱいのですよ。チョッと甘くて種の周りが少し渋くて。。。複雑な美味しさです^^
グミやコウメ(ユスラウメ?)美味しいですよね。真赤なグミもとても好きです。
田んぼの側に一本あったグミは、実のなる頃は子供達がいつも群がっていました。
本当!晩御飯は忘れるのにねぇ!!
思い出は、頭の中に、バックアップされて、守られていますね。
Commented by sawanoseikatu at 2006-06-22 15:57
心はどこへでも、行けるんですね。お父さんと出会えた幸せなひと時。
蓮華草さんの心がピューワーだからですね。
Commented by namazu_5757 at 2006-06-23 07:54
ヤマモモを食べたことがありません。木の実の図鑑で気になっている実の一つですが。それでも最近よく目にしています。大都会のど真ん中で。大阪市内の街路樹や公園に植えられています。一つ食べてみたいと思いながら人目が気になって手が出ません。その沢山の実は無惨にコンクリートの上に落ち地面を真っ黒に染めます。何か複雑な気持ちです。やはり山で育つからこそヤマモモですよね。
Commented by brizu at 2006-06-23 11:20
なるほど、思い出と共にあるヤマモモの風景が
浮かんできます。
とても大切な思い出であることも
わかりますよ。
姉さんの記憶にのこれるなんて、
ヤマモモは幸せだぁ(なんて嫉妬してみたりして・・)^^
Commented by hanarenge at 2006-06-24 14:27
信子さん♪そうですよね。心は自由、魂を解き放てば行きたい所へ行けて会いたい人に会えますね。
チョッと大げさな言い方ですけれど・・・・(^^ゞ
ヤマモモからでも会えます(笑)
ピュアな心をいつまでも持ち続けたいと願いながら、世俗にまみれています・・・・。
Commented by hanarenge at 2006-06-24 14:31
namazuさん、この木、大阪市内にもあるんですか(^.^)!♪
公園にある?どこかしら?見てみたいですね。
酸っぱい実は、誰にも顧みられることなく落ちるのですねぇ・・・
いつも思うのですけれど、日本の街路樹なども、ただ植えればいいやと言う感じで植えられてあるようなので、私は、いつも嫌な気持ちになります。
Commented by hanarenge at 2006-06-24 14:34
ブリズさん♪、有難うございます。
そうなんです、とっても大事にしたい思い出です^^
ヤマモモの事をいつか残したいと。。。大げさ×100倍ですね 笑
私の記憶箱には、色々詰まりすぎて、チョッと整理して置かないと何がナニ??となってしまいそうです。
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by hanarenge | 2006-06-21 18:16 | 幼い頃の・・・ | Comments(12)

 心模様の一こまを・・   れんげそう