2017年 04月 10日

赤い屋根のおうち

三角の屋根と小さな四角の窓

郵便受も赤い三角屋根が付いている

千里山には、古いおうちが多い

とても大きなおうちも多い

見上げるような石段の上のおうちに住んでいる人もいる

越してきてしばらくはご近所探訪をした

立派なおうちの多いここで、私が気に入ったお家はそう多くない

大きな庭があって雑木林のような森のあるおうちと、灰色の三角屋根のおうち それと赤い屋根のおうち 

赤い屋根のおうちもかなり古い 庭の木も家と一緒に年をとったようで大きい

生垣から見える表の庭には小さな椅子とテーブル 一階の窓は大きく開けられて白いカーテンが揺れている

でも二階の窓が開いているのを見たことがなかった

きっと高齢のご夫婦がお二人で住んでお出でで、二階は、滅多に上がらないのかしら

風を入れたほうがいいのになあ などと、そこの前を通るたびに思っていた

一階の窓が開いているとほっとした 夜は玄関に蜜柑色の明かりが灯っていた

向田邦子のドラマの、三姉妹が二階から見ているような気がして、前を通り過ぎた後でこっそり見上げたこともあった

キラキラ輝く目をした三姉妹が、くすくす笑いながら見下ろしているような気がして

今日、ここの前を通ったら

木で足組がしてあった 白いビニールカーテンで家中周りをぐるりと覆われていた

そして二階の窓は ありったけの窓が大きく開けられていた

ドキドキしながら側に行って見上げてみた

左手の奥に回る道で重機が音を上げている

胸騒ぎは現実となって私に迫った

赤い屋根のおうちは裏から重機に崩されていた

初めて見る赤い屋根のおうちの中 なんだか悪いことをしているような気持ちでこっそり見てみた

荷物はなかったけれど 裏手の物干し台が見えた でもその下は重機で壊されて穴が開いている

とうとうこの、おうちも壊されるのだ

これまでも何軒もの古い家が壊され 大きな敷地は切り売りされ そこにピカピカの同じ顔をした家が並ぶのを見てきた

ここで育った子供たちは帰ってこなかったのだなあと思った

大きなおうちは維持が大変 一軒家を所有する煩わしさは、私も身にしみてわかっている

家族の砦とも揺籠ともなった家は 今は大きいだけの厄介者になっている

ここにはどんな家が建つのだろうか

ここにあった、可愛らしい赤い三角屋根のおうちのことなどすぐに忘れられるのだろうなあと、ちょっぴり腹立たしい思いで家路を急いだ。

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by hanarenge | 2017-04-10 14:21 | 心模様 | Comments(0)
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