心の万華鏡  

hanarenge.exblog.jp
ブログトップ
2017年 03月 08日

黄昏のビギン 第2バージョン

今日は風が冷たかった 

その中を梅田まで

30年来の友人と映画を観るために

私は切なくならないといけない訳があるのだwwwwwww

切なく悲しくならないと いけない

友人に話すと大笑いしていた

その訳は 黄昏のビギンを書くためだ

そんな要らん前置きは横に置いといてさっさと幕あけろやって声も聞こえそうだが

PCやスマホの前のそこなあなた方!!仰せに従いますわよ 期待はせんといてほしい!!

「マリアンヌ」

ブラピが青年の面影を蘇らせていた
マリオン・コティヤールは美しかった 
モロッコの砂漠の夜明けは薄いピンク色に染まっていた




さて、黄昏のビギンである
(第一よかテンション下がり気味は悪しからず 笑)

第1章よりハッピーエンドの話を書けとその友人曰く あんたもかいな

まあ、今回のヒロインは寺島しのぶのイメージにしようかと

日本の女優の中では好きな人である



A子は髪をいつも、頭の後ろでキュッとひとまとめにしていた

綺麗な黒髪なのにもっとふわりと肩にたらせばいいのに

そういう風に言ってみたことがあるが この方が動きやすいのですよとの事

A子はパートでこの法律事務所に勤めてくれているのだ

弁護士と言ったって彼一人 あとは助手のような男が一人(ようなというのはなんでもするからだ 掃除も運転も時にはアイロンだってかけてくれる )

良心的にやっているので、儲けは少ない が 小回りがきいて経費も少ない

なんとか給料を出して 家族をまがりなりに養えるくらいは稼いでいた

彼女がパートに来てくれたきっかけは 彼女の夫が事故で亡くなって それも夫の落ち度だということでろくな保証も出なかったのを、彼がなんとか雀の涙程度ではあるが見舞金の名目で取ることができた そんなことだった

初めて事務所に座っていたA子を見たのは何年前だったろう
きつい目と血の気の失せた唇 薄い方ががっくりと落ちてみすぼらしかった

みすぼらしいはずだ 彼女には何も残っていなかったのだ

夫が事故を起こして死亡 トラックの運転手だったが 過重労働に次ぐ重労働で居眠り運転をして対向車線にはみ出したのだ
会社は薄っぺらい名ばかりの見舞金をよこしただけだった

人の紹介で彼の事務所に回されてきたのだ (はっきり言えばどこも相手にしてくれなかったのだ)

彼の事務所は社会的な弱者の救済も、まるで、義務のように組み入れてやっていた

貧しい田舎の村の出の彼にとってみれば ささやかではあるがそんな事でもせずにはいられなかったのだ

自分が今あるのは故郷の村で、必死に働いて学費を工面し続けてくれた父母のおかげだった
その父母も彼の司法試験の合格を聞いて、しばらくして、順番にあちら側へと旅立ったのだ
以来、彼はできるだけ(と、言っても生活の事もあるので限りなく限られてはいたが)貧しい人の役に時には手弁当で弁護活動を行っていた。

彼の妻はそれが気に入らない もっと華々しい事件を扱って有名な弁護士になってほしいのだ

彼女の父親がそうだった 日本の法曹界でも少しは名前の知れた家に生まれ 検事から弁護士となった義父は、立派な人であったが、彼のようではなかった

義父が口には出さないが、彼を苦々しく思っていることは承知していた

義父が若い彼を見込んで 一人娘を嫁がせたのだ 義父にしてみれば己の手元で鍛え上げ事務所を継がせたかったのだ
ところが、この婿は、どうも見込み通りにはいかないようだと思っているのだろう 最近はとみに不機嫌であった。

妻は美しかった 初めて会った時こんな綺麗な人がと驚いたくらいだ

美しい妻は、その美しさに比例して気位が高かった

それでも新婚時代はわがまま放題な美しい妻に手を焼きながらも、彼もそれなりに楽しかった。

この頃はもう家に帰るのも億劫で 事務所でつい長居をしてそのままズルズルと朝を迎えたりしていた。


小言ばかり言っている妻の顔は、般若のようになってきたと思うのだ。

都心に小さいがマンショも持っている と言っても、これは妻名義だ 彼の財産は無いに等しい 


こんな彼がほっとできるのは事務員の彼女の一服のお茶だった
いや、お茶というよりA子だ
いつも丁寧に掃除をしてその後は、背筋を伸ばし机に向かっている

そして、笑顔でお茶を淹れてくれる 難しい(と、彼には思える)PCでの事務作業も書類も何もかもが彼女の手にかかれば
美しく そして、適度な時間で仕上がった。

彼女は私は先生に助けていただきました その上、お仕事までもらったのですものと控えめに言う。

いやいや、助かっているのはこちらです

遠慮気味だったA子がやっと彼に打ち解けてくれた 彼はそう思うだけで嬉しかった

そうしていつの間にか、A子が彼の胸の中でしっかりと存在感を増していったのだ

お互いがお互いをかけがえのない人だと思うのにそう時間は要らなかった

にもかかわらず二人はプラトニックな関係だった。

彼女とあるいは彼と話せて、一緒に居られるだけでよかったのだ

表向きは平凡に過ぎたが、内実はもういざこざの種が芽生え、彼の妻は、彼を愛していないにもかかわらず頑として離婚を承諾しなかった

いや、信じられないことに妻は彼を愛していたのだ、妻なりのやり方で。

かなり一方的ではあるが
 
だがそれは憎しみとしてしか表現できなかったのだ

なぜ、私が事務員に負けなければいけないのか なぜ私があなたを楽にしてやらなければならないのか

あなたが苦しむのを見るためだったら、私は百回でもあなたの妻になってやる 毎日毎日呪われているようだった


一度ならずA子は事務所を止めようとした 私がいない方が先生たちはうまくいく

しかし、そんなことは彼が納得できなかった
A子は私はこのまま先生の側で仕事が出来るだけでいいのですと言った

このままではいけない 髪に白いものがちらほらと混じりだしたA子を見て彼は決心した

家を出る 地方の町に行って先輩の事務所を手伝い 仕事を探す
あなたをこのままにはしておけない、一緒に行こう

ところがなんと妻が自殺を図った
命は取り留めたが重い後遺症が残った もう話すこともできない妻は美しい瞳に怒りと哀れと涙をにじませて彼を見るだけだった

見捨てるわけにはいかなかった

いや見捨てたかった 見捨てようとした しかし A子にひどくなじられた

そして間髪入れずにA子は去っていったのだ 見事としか言いようがなかった

彼女が故郷の町に帰ったのは知っていた

妻は長く苦しんだが 最後には眠るようにこの世を去った

彼に残ったものは何もなかった事務所も家も売り、彼はやはりA子の故郷の町に行った

会えなくても良かった。ただ同じ町に居たかったのだ。

彼は毎日散歩に出る そして公園のベンチにうなだれて座り 自分の愚かさを思うのだ

結局何もかもが自分の愚かさゆえに起こったのだ

妻と別れたらよかった それをしなかったのは自分のずるさだ 

そしてA子の優しさに甘え そのままにしてしまった

毎日ベンチに座っていると自分が浄化されるような気持ちになった 彼はやっと自分と向き合うことができたのだ

そんな彼は今日もベンチに座っていた

冬にしては珍しく風のない暖かな日であった

横に誰かが来て座った 

先生お久しぶりです

あの独特のかすれ声で囁いたのは彼女だった

はっと顔を上げた先に 昔と変わらないA子の顔があった

いや、随分と歳をとった でもそれはお互いさまだ

震える手で彼女の手を握った 

涙が後から後から出た   
                        了

3/15 少し文章を入れ替え 加筆しました

まあ所詮こんなものですよ 
地味ですね〜〜〜〜退屈ですね〜〜〜〜読んでくれた、みなさんありがとう ちょっと恥ずかしい出来です

[PR]

by hanarenge | 2017-03-08 20:34 | 作文 | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード


<< 初体験は神戸で      梅田街撮り 4 >>