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心の万華鏡  

赤い靴

黒い壁の前には赤い靴、スッと伸びた美しい脚がその靴の上にのっている
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先は少し丸みを帯びて、踵は高く。あまり細すぎてもいけない。

しっかりと、足に合い、どんな動きも受け止めて、グラグラしたりはしない。

エナメルの、赤い靴。

アンゼルセンの、あの赤い靴のように、一目見て心に、深く残るような赤い靴。

あの女の子が、どうしても、何を犠牲にしても履きたかったように、美しい靴。

誰でも赤い靴に憧れたことは、女の子ならあるだろう。

魔法のような赤い靴は、軽やかにステップを踏んで、何処までもいつまでも踊り続けけたくなるのだろうか。

童話を知っていると恐ろしくなるけれど、手にとって履いてみたくなるだろう。

赤い靴には魔法がかかっているのだ。

二軒並んだブティックの右側の店先に、黒いキャバス地に、真っ白なジーンズと赤い靴の絵が描かれたバッグが飾られていた。

脚と赤い靴だけが描かれて、バッグの持ち手は、白と黒がねじれたように見えるようになっている。

普段使いに丁度良い加減の大きさだった。

ああ、欲しいなあと、思いながら通るたびに横目で見て歩いた。

年が明けても、バッグはまだあった。

歯科受診の日まで有ったら、店に入ってみようとおもっていた。

歯医者に入る前に確かめたらしっかりと飾られていた。

もう手に入ったようにも思えて、楽しみにしていたのだけれど。

無かった。歯科から出てきたら、赤い靴のバッグは飾り棚から消えていた。

中には、一組のお客さんがいて、何か包んで貰っている。

ああ、あの人に買われたのだなと、思った。

他の買い物をして、もう一度前を通ると、赤い靴のバッグの後には、妙な模様の小袋がかけられていた。
ガッカリした気持ちでその前を通った。私の赤い靴はこうして終わったのだ。
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Commented by captain_spoc at 2016-01-07 14:30
文章の構成と文章力と素晴らしいです
思わず引きこまれて読みました
Commented by hanarenge at 2016-01-07 17:14
わぁお!!艦長さん!!
超嬉しいです、私の作文読んで下さって、こんな素敵なお褒めの言葉を頂いて♡マークです^^
有り難うございます。
Commented by MAKO-PHOTOGRAPH at 2016-01-08 08:48
新年のご挨拶もせずに失礼しました。
改めておめでとうございます。
本年も宜しく・・・
赤い靴、短いながら引き込まれていく展開ですね。
ナイス短編小説って感じです。
私が「赤い靴」と聞くと、
あの横浜港から連れられて青い目の人形になる童謡を連想してしまいます。
Commented by hanarenge at 2016-01-08 20:20
MAKOさん、わざわざ有り難うございます。こちらこそ普段からご無沙汰ばかりですみません。
今年も、こんなブログですけれど、どうぞよろしくお願い致します。
MAKOさんにも、そんな嬉しい事を仰って頂いて^^とっても嬉しいです。
作文にナイス短編小説と!!超嬉しいです、♡マークが飛び交っております 爆
赤い靴〜〜〜〜♫ あの有名な歌ですね。ちょっと哀愁漂うあの歌、横浜港と言うのも、異人さんというのもすごく良いですよね。
この赤い靴には、悲しい物語があって、私もそうだと思っていたのですが事実は少し異なるようです。
何にしてももう明治の話ですから、歴史の彼方になってしまいました。
でも、赤い靴の童謡は、そんな事とは別に歌われて行くでしょうね。
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by hanarenge | 2016-01-07 11:18 | 心模様 | Comments(4)

 心模様の一こまを・・   れんげそう